よりコストの低いファンドが出てきたときにどうすればいいのか真剣に考えてみた.
先日あんこもちさんのツイートをみて、FP試験の勉強をそっちのけで真剣に考えてみた.
数学の問題文みたいにしたら、こんな風になるんですかね?
現在、ファンドAを毎年Y円ずつ積立購入している.基準日で評価額X円分のファンドAを保有している.より低コストなファンドBを見つけ、こちらに乗り換えようか検討している.もっとも効率的な方法を検討せよ.
数学が苦手な方、これから気持ち悪い数式がたくさん出てきます.
結論だけで十分な方は、グラフが出てくるあたりまでスクロールしてください.
その付近のおまけからで十分です.
モデルを単純にしないと私の数学力では計算できないので次のように仮定しました.
仮定:期間中に所謂ショックやバブルなどの相場の異常な変動が起こらない.また、ファンドの運用成績の差がなく、繰上償還も起こらない.基準日時点でのファンドAの評価益は0%.年間利回りは毎年達成され、信託報酬(以下、コスト)は変化しない.
想定しうるパターンは次の4つだと思います.
i. ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドAを引き続き毎年同日にY円分購入し続ける.
ii. ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
iii. ファンドAを基準日において全て売却し、同日にファンドBを一括購入、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
iv. ファンドAが基準日から実質コストをファンドBと同率に引き下げ、その後もファンドAまたはBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
これらについて考察していく.詳細な計算は結論の後にあります.⇒複雑かつ需要が皆無なのでやめます
ファンドAのコストをa%、ファンドBのそれをb%、ファンドAの信託財産留保額をc%、検討しているアセットの期待リターンをd%とする.
i. ファンドAをホールドし、ファンドAを積み立て続けるケース
期待リターンが d %、ファンドAのコストが a %なので、実質リターンは、d-a %となります.これを以降 R とします.
そうすると、このような式になります.

ii. ファンドAをホールドし、ファンドBに乗り換えて積み立てるケース
ファンドBのコストが b %なので、実質リターンは、d-b %となります.これを以降 S とします.
そうすると、このような式になります.

iii. ファンドBに完全に乗り換えるケース
ファンドAを基準日において全て売却すると、今回の仮定ではファンドAに利益が出ていないことになっているので20.315%の課税はありません.利益が出るとその分に対する課税が発生するのですが、それがどの程度かという変数がまた一つ増えるのでややこしいので無視しました.
単純に信託財産留保額が c %発生するので、引いた後の額を Z 円とします.
そうすると、このような式になります.

iv. ファンドAが値下げしてくれたので、ファンドAを積み立て続けるケース
この場合、ファンドAの期待リターンもファンドBと同じになりますので、R=Sとなります.以降の積立はファンドAでもファンドBでも同じです.
そうすると、このような式になります.

ここで一旦、上の式を整理します.
i. Σ分解の式

ii. Σ分解の式

iii. Σ分解の式

iv. Σ分解の式

長期で考えた場合、最も効率がいい順番に並べると次の通りになる.
①ファンドAが基準日から実質コストをファンドBと同率に引き下げ、その後もファンドAまたはBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
②ファンドAを基準日において全て売却し、同日にファンドBを一括購入、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.(ファンドAに利益がない場合と仮定)
③ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
④ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドAを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
数学的な回答をすれば、最も効率がいいのは、 iv. のケース.
ただし、コストはこちらで勝手には引き下げられないので、現実的ではない.
今回の仮定では、最も効率がいいのは、 iii. が最も効率的である.
i.とii.ではホールド分は同じなので、積み立てていく分だけ差が出る.当然、低コストなファンドBを積み立て続ける ii. のケースが有利
ii. と iii. の場合は、基準日から数年は、売却したケースが不利だが、年数を経るにしたがって逆転し、売却した方が却って効率がいい.
また、iii. とiv.ではファンドAの売却に伴う信託財産留保額分だけ iv.が有利となる.
以上から長期にわたりこの状況が続くとき、このようになる.
さすがにここまでは手計算で何とかなりますが、具体的な計算は人間の能力を超えているのでExcel先生の出番です.
今回話題になっていたSMT グローバル株式インデックス・オープン(以下、SMT)と<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(以下、ニッセイ)を上記の仮定の下、次の条件で運用し続けた時の結果を比較して行こうと思います.
この条件で、上記 i.~iv.をそれぞれ比較しグラフにしました.

顕著に差が見え始めてくる20年後からグラフを開始しました.
i.はファンドAのまま、ファンドAを積み立てるケース
ii.はファンドAをホールド、ファンドBへ積み立てを乗り換えるケース
iv.はファンドAのコストがファンドBと同率になったケース
この数字をどう感じるかはそれぞれです.iv.はSMTが信託報酬を引き下げないと実現できないので、自分でコントロールできるのはi.~iii.までです.
一般的なSMTをホールドし、ニッセイにスイッチして購入し続けることが多いと思います.この場合の差はii.-i.です.20年で8万強、30年で25万強の差がでました.
また、iv. と ii. の差も20年で5万強、30年で12万強の差がでました.
計算して、また悩みの種が増えた・・・あっ、これが双曲割引ってやつか! 軽微な表現の変更を加えました.
結論の冒頭に一部加筆しました.
ふむむ。ニッセイ外国株式インデックスの純資産が120億を超えているんですね。新しいファンドは怖いと思ってSMTグローバル株式インデックスのままにしていたけど、信託報酬の差がでかい。(前者は0.39%で後者は0.54%) そろそろ乗り換え時なのかしら。
— あんこもち(リハビリ中) (@annkomochi216) 2015, 7月 22
数学の問題文みたいにしたら、こんな風になるんですかね?
問
現在、ファンドAを毎年Y円ずつ積立購入している.基準日で評価額X円分のファンドAを保有している.より低コストなファンドBを見つけ、こちらに乗り換えようか検討している.もっとも効率的な方法を検討せよ.
注意
数学が苦手な方、これから気持ち悪い数式がたくさん出てきます.
結論だけで十分な方は、グラフが出てくるあたりまでスクロールしてください.
その付近のおまけからで十分です.
答
モデルを単純にしないと私の数学力では計算できないので次のように仮定しました.
仮定:期間中に所謂ショックやバブルなどの相場の異常な変動が起こらない.また、ファンドの運用成績の差がなく、繰上償還も起こらない.基準日時点でのファンドAの評価益は0%.年間利回りは毎年達成され、信託報酬(以下、コスト)は変化しない.
想定しうるパターンは次の4つだと思います.
i. ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドAを引き続き毎年同日にY円分購入し続ける.
ii. ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
iii. ファンドAを基準日において全て売却し、同日にファンドBを一括購入、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
iv. ファンドAが基準日から実質コストをファンドBと同率に引き下げ、その後もファンドAまたはBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
結果
これらについて考察していく.
ファンドAのコストをa%、ファンドBのそれをb%、ファンドAの信託財産留保額をc%、検討しているアセットの期待リターンをd%とする.
i. ファンドAをホールドし、ファンドAを積み立て続けるケース
期待リターンが d %、ファンドAのコストが a %なので、実質リターンは、d-a %となります.これを以降 R とします.
そうすると、このような式になります.

ii. ファンドAをホールドし、ファンドBに乗り換えて積み立てるケース
ファンドBのコストが b %なので、実質リターンは、d-b %となります.これを以降 S とします.
そうすると、このような式になります.

iii. ファンドBに完全に乗り換えるケース
ファンドAを基準日において全て売却すると、今回の仮定ではファンドAに利益が出ていないことになっているので20.315%の課税はありません.利益が出るとその分に対する課税が発生するのですが、それがどの程度かという変数がまた一つ増えるのでややこしいので無視しました.
単純に信託財産留保額が c %発生するので、引いた後の額を Z 円とします.
そうすると、このような式になります.

iv. ファンドAが値下げしてくれたので、ファンドAを積み立て続けるケース
この場合、ファンドAの期待リターンもファンドBと同じになりますので、R=Sとなります.以降の積立はファンドAでもファンドBでも同じです.
そうすると、このような式になります.

ここで一旦、上の式を整理します.
i. Σ分解の式

ii. Σ分解の式

iii. Σ分解の式

iv. Σ分解の式

結論
長期で考えた場合、最も効率がいい順番に並べると次の通りになる.
①ファンドAが基準日から実質コストをファンドBと同率に引き下げ、その後もファンドAまたはBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
②ファンドAを基準日において全て売却し、同日にファンドBを一括購入、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.(ファンドAに利益がない場合と仮定)
③ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドBを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
④ファンドAをこのまま保有し続け、ファンドAを基準日から毎年同日にY円分購入し続ける.
数学的な回答をすれば、最も効率がいいのは、 iv. のケース.
ただし、コストはこちらで勝手には引き下げられないので、現実的ではない.
今回の仮定では、最も効率がいいのは、 iii. が最も効率的である.
i.とii.ではホールド分は同じなので、積み立てていく分だけ差が出る.当然、低コストなファンドBを積み立て続ける ii. のケースが有利
ii. と iii. の場合は、基準日から数年は、売却したケースが不利だが、年数を経るにしたがって逆転し、売却した方が却って効率がいい.
また、iii. とiv.ではファンドAの売却に伴う信託財産留保額分だけ iv.が有利となる.
以上から長期にわたりこの状況が続くとき、このようになる.
iv. > iii. > ii. > i.
おまけ
さすがにここまでは手計算で何とかなりますが、具体的な計算は人間の能力を超えているのでExcel先生の出番です.
今回話題になっていたSMT グローバル株式インデックス・オープン(以下、SMT)と<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(以下、ニッセイ)を上記の仮定の下、次の条件で運用し続けた時の結果を比較して行こうと思います.
SMTのコスト( a %) | 0.50 % | SMTの信託財産留保額( c %) | 0.05 % |
ニッセイのコスト( b %) | 0.39 % | 期待リターン( d %) | 5 .00% |
現在の評価額(X 円) | 1,000,000 円 | 毎年の積立額( Y 円) | 200,000 円 |
この条件で、上記 i.~iv.をそれぞれ比較しグラフにしました.

顕著に差が見え始めてくる20年後からグラフを開始しました.
年数 | 最大値-最小値 | ii.-i. | iv. - ii. |
20年後 | 134,319円 | 83,035円 | 51,284円 |
30年後 | 374,001円 | 253,904円 | 120,096円 |
45年後 | 1,283,625円 | 932,215円 | 351,410円 |
i.はファンドAのまま、ファンドAを積み立てるケース
ii.はファンドAをホールド、ファンドBへ積み立てを乗り換えるケース
iv.はファンドAのコストがファンドBと同率になったケース
この数字をどう感じるかはそれぞれです.iv.はSMTが信託報酬を引き下げないと実現できないので、自分でコントロールできるのはi.~iii.までです.
一般的なSMTをホールドし、ニッセイにスイッチして購入し続けることが多いと思います.この場合の差はii.-i.です.20年で8万強、30年で25万強の差がでました.
また、iv. と ii. の差も20年で5万強、30年で12万強の差がでました.
計算して、また悩みの種が増えた・・・あっ、これが双曲割引ってやつか! 軽微な表現の変更を加えました.
結論の冒頭に一部加筆しました.
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